毎月、月経サイクルを保ってきてくれた子宮も30年以上もたつと、そろそろスローダウンしたいなと疲れが見え出すのは、他の臓器と同じ。ホルモンを放出してくれている子宮と、ホルモンを出すように指示を出す、脳にある視床下部下垂体とのコミュニケーションにも変化が見られます。相変わらずハイコマンドなボス、視床下部下垂体から出る指示には変化がないのに対し、一生懸命働いてきた子宮は段々とタスクがこなせなくなってくるのです。
息をする、心拍を保つ、血圧を保つ、血管の拡張・収縮など、私たちが意識する事なく、ありがたいことに勝手に作用してくれる自律神経系は、このコマンドセンターと深く関わっている為、子宮などの生殖器官の機能や状態に良くも悪くも影響を受けます。
ホルモンバランスが崩れると、今まで勝手に作用してくれていたことができなくなるのは、これが理由なのですね。
とたんに体温調節ができず多汗や火照りをおこしてしまったり、イライラや不安、鬱、喉の渇き、膣の渇き、熱いような痛みが舌に感じられたり、口臭、運動もしてないのに動悸、そして睡眠障害などを引き起こします。他の症状でみられるものとしては、胃酸過多による吐き気、爪がもろくなったり、抜け毛、頭痛、疲れ易い、関節痛、骨粗鬆症など、リストはまるでとめどなく続くようです。
でも実は、とてもいいニュースもあるのです!
更年期前に体のサインを見逃さず、十分メインテナンスしてあげることで、これらの症状を予防できるのです。もしも、すでに更年期に突入し、症状があらわれていても、決して遅くはありません。 症状を和らげ、更年期後の生活に備えることができます。
体の声を聞き、素直に従うことが鍵なのです。
中医学と西洋医学では、名前は同じでも臓器の捉え方や機能が多少違います。わかりやすく車に例えて話してみましょう。
肝臓は車でいうとエンジンに当てはまり、スムーズな動き全体を担っています。車に必要なガソリンや水分を補給してくれるのが腎臓です。
ガソリンや水分が充分でない場合、エンジンを冷却することが不可能になり、オーバーヒート状態になり、さらに続けて運転なんてしてしまうものなら、悲鳴をあげ早々に壊れてしまいますね。
人間の体も同じことが言えるのです。腎臓から肝臓へ必要な水分を送ることが出来なければ、肝臓が担っているスムーズな動きというものは滞り、熱を持ち始め、とたんにイライラや頭痛、睡眠障害などの原因となります。
運転席に乗っているあなた、目の前に”エンジンチェック”のライトが点滅したらどうしますか?
そのまま乗り続けますか?
では、あなたの体が枯乾し消耗してきたとサインを出し始めたらどうしますか?
コーヒーを飲んでどうにかその場しのぎの勢いをつけ、無理やり動き始めますか?今まで通り、ジョギングしたり、残業したり、パーティーやイベントごとでカレンダーを埋めますか?
精力を使い果たしたにも関わらず、カフェインや過度な運動によって、脳の興奮状態が続き、なかなか眠れません。今度は体を無理やり休まそうと、ワインやビールに手が伸びていませんか?もしくはホルモン注射とか?
これでは体のメインテナンスどころか、体が出すサインさえも無視しているようなものです。自分を大切にしているとは言い難いと思います。
さて、中医学がバランスを崩したホルモンや機能しにくくなった体をメインテナンスするのにもってこいなのはどうしてでしょう。
鍼は中医学のメインツールと言えますが、その鍼がなんと、交感神経と副交感神経の活動状態を調節してくれるため、自律神経系の病気を治療することができるのです。これが 更年期障害(女性も男性も!)に鍼が効く一つの理由なのです。
鍼だけで更年期障害の症状が無くなり全てのバランスが保たれる?
鍼の力は偉大ですが、運転手はあなた。
鍼というメカニックが調整したからといって、あぐらをかいて20代の頃と同じような生活をしていたのでは、 元も子もないですね。
個人の食生活や睡眠、仕事などライフスタイル全般をみてアプローチできるのが中医学のいいところでもあるのです。
”のぼせ”は更年期のよくある症状ですが、更年期の女性が全員そろって経験するわけではありません。症状の激しさも違えば、持って生まれた体質、生活習慣などは、人それぞれ違います。だからこそ、あなた用にカスタマイズされた治療が必至なのです。
それが出来るのが、中医学の一番いいところで、バランスを戻すにはうってつけなのです。
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